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Stepanov, S. V.*; Byakov, V. M.*; He, C.*; 平出 哲也; Mikhin, K. V.*
Acta Physica Polonica A, 107(4), p.642 - 650, 2005/00
ポジトロニウム形成に及ぼす捕捉電子,溶媒和電子の役割を議論する。熱化した陽電子とこれら電子との結合はエネルギー的に可能であり、ポジトロニウム形成の一部を担っている。準自由状態の電子と陽電子の反応とは異なり、このポジトロニウム形成はピコ秒の時間領域に限られず、ナノ秒の時間領域にまで及んでいる。このような場合、従来から用いられている陽電子消滅寿命スペクトルの指数減衰成分への分解による解析には疑問が生じる。データの厳格な取扱には単なる指数減衰による分解でなく、適当な物理的な情報が必要となる。そのような方法をここで提唱する。また、その手法によりポリエチレン,EMMA,PMMA中の暗黒中,可視光下におけるポジトロニウム形成の測定時間,温度依存性について解釈する。捕捉電子の蓄積,捕捉電子とイオンとの再結合,捕捉電子と陽電子によるポジトロニウム形成に関するパラメータを求めた。
高柳 敏幸
Chemical Physics, 302(1-3), p.85 - 93, 2004/07
被引用回数:12 パーセンタイル:36.78(Chemistry, Physical)量子-古典混合近似を用いてアセトニトリルクラスターへの電子付加ダイナミクスの理論シミュレーションを行った。過剰電子の運動は電子基底状態を保つよう、量子力学的に取り扱い、溶媒分子中の原子の運動は古典力学で取り扱った。一電子擬ポテンシャルを電子とアセトニトリル分子の相互作用に使い、溶媒分子間の相互作用については経験的なポテンシャルを用いた。初期のクラスター構造は一定温度の分子動力学計算によって求めた。過剰電子は非常に弱く束縛された表面電子の状態から、徐々に溶媒和され、数ピコ秒の後、溶媒和される。このとき、アセトニトリル中のメチル基が電子に向くように分子が回転する。低温での小さなクラスターを除いて、ほぼすべてのクラスターで内部に束縛された溶媒和電子が生成することが見いだされた。電子の束縛エネルギーを最近の実験結果と比較したところ、シミュレーションは実験値よりかなり大きくなることがわかった。これは使った擬ポテンシャルにさらに改良の余地があることを示している。
一ノ瀬 暢之; 円尾 正晴*; 河西 俊一; 泉 佳伸*; 山本 忠史*
Chemistry Letters, 0(10), p.943 - 944, 1995/00
六フッ化プロピレン-四フッ化エチレン共重合体(FEP)フィルムと種々の溶媒のトリエチルアミン(TEA)溶液とのKrFレーザーによる光化学反応を検討した。FEPフィルムをTEAアセトニトリル溶液と接触させKrFレーザー光(35mJcmpulse)を6000ショット照射したところ、フィルム表面は親水性かつ親油性を示した。XPSによる元素分析の結果、フッ素が著しく減少し、わずかに窒素、酸素の増加が認められた。接触角のpH依存性からジエチルアミノエチル化、UV吸収スペクトルからは共役二重結合の生成がそれぞれに示された。この反応の溶媒硬化、および光源の波長依存性などからTEAの光イオン化、溶媒和電子のFEPによる捕捉を経て進行することが結論された。